放課後論文ラジオ
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EP.063

#63 AIは本物のエンジンで遊べるゲームを作れるか

指示だけからゲームを丸ごと作る力を、実際にプレイして採点する新基準

2026年6月18日

番組ノート

今回の論文

  • タイトル: GameCraft-Bench: Can Agents Build Playable Games End-to-End in a Real Game Engine?
  • 著者: Tongxu Luo, Rongsheng Wang, Jiaxi Bi et al.(香港中文大学・深圳、テンセント Hunyuanチームほか)
  • 発表: 2026年6月

このエピソードのポイント

  • 「ゲームを作って」という指示だけから、AIが本物のエンジンで遊べるゲームを丸ごと作れるかを検証
  • 作ったAI自身に操作の台本も提出させ、その再生映像を画像も読めるAIが採点する工夫がユニーク
  • 最優秀でも41%と厳しい結果。仕組みは作れても中身の詰まった完成品にはできない弱点が浮き彫りに
#放課後論文ラジオ#AI#機械学習#AIエージェント#ゲーム制作#Godot#ベンチマーク

論文を読み解く

Overview

ひと言でいうと

「ゲームを作って」という日本語の指示だけから、AIが本物のゲームエンジン上で“実際に遊べるゲーム”を丸ごと完成させられるかを、実際にプレイして検証する評価基準(ベンチマーク)を作った研究。

Background

背景

最近のAI(コーディングエージェント)は、ファイルを編集し、ツールを動かし、エラーを見て直す、という人間のプログラマーのような作業ができるようになってきました。そこで「ゲームを丸ごと作らせる」という応用に注目が集まっています。

ただし、ゲームの良し悪しは普通のプログラムとは違います。コードが文法的に正しくても、いざ起動して操作してみたら「キャラが動かない」「敵が反応しない」「画面が読めない」といった、遊んでみないと分からない失敗が山ほどあるのです。従来の評価方法はコードのテストが通るかどうかを見るだけで、「本当に遊べるか」までは確かめていませんでした。だからこそ、実際に動かして・操作して・観察する新しい評価のものさしが必要になったのです。

Novelty

何が新しいか

この研究は「良いゲーム評価には3つの条件が必要だ」と整理しました。①本物のゲームエンジン(無料で軽量な Godot を採用)で開発させること、②バラバラの部品ではなく“起動して遊べる完成品”を提出させること、③静的に眺めるのではなく実際にプレイして判定すること、です。

面白いのは「③どうやってAIにゲームをプレイさせて判定するか」の工夫です。普通なら判定する側がゲームの遊び方を自分で探らねばなりませんが、それでは判定がブレてしまう。そこでこの研究は、ゲームを作ったAI自身に「こう操作すればこの機能が見られる」という操作記録(マウス・キーボードの再生データ)も一緒に提出させます。判定側はそれを“録画再生”してプレイ映像を撮り、その映像を画像も読めるAI審査員が採点する仕組みです。採点は「核となる遊びの仕組み」「コンテンツの厚み」「分かりやすい画面表示」「見た目の完成度」の4観点で行います。

Results

どんな結果が出たか

最新の有力AIエージェント7種類に、15ジャンル・全140個のゲーム制作課題を解かせました。結果は厳しいもので、最も優秀だった Claude Code(Opus-4.7)でも100点満点換算で 41.46% 止まり。GPT-5.5 が 39.49%、多くのAIは40%未満でした。

特徴的なのは、AIは「遊びの仕組み」(55%前後)は比較的作れる一方、「コンテンツの厚み」や「見た目の完成度」(30%台)が弱いこと。つまり“ゲームっぽい断片”は作れても、中身が詰まった完成品には組み上げられないのです。さらに、提出物は起動するのに操作記録を出し忘れて0点になるAIもあり、最後まで作業をやり切る力にも差が出ました。

Key Point

なぜ重要か

「AIにアプリやゲームを丸ごと作らせる」という夢は、ノーコード開発やゲーム制作の自動化として大きな期待を集めています。この研究はその現在地を冷静に示してくれます。結論は「まだ全然解けていない」。ただし悲観だけでなく、どこでつまずくのかを具体的に診断している点が実務的に価値があります。

注目したいのは「AIが画面を見て直す」効果です。あるAIは1課題あたり平均21回も画面のスクリーンショットを撮り、ズレや表示漏れを見つけて修正していました。一方、コードをひたすら書き・コマンドを大量に打つだけのAIは、努力量と成果がほぼ無相関でした。これは、AIに創造的なソフトを作らせるなら「とにかく量をこなす」より「結果を見て直すループを回す」ことが鍵だと示唆します。動くものを作って終わりではなく、ユーザー目線で完成度を確かめる——これはAIに限らず、あらゆるモノづくりに通じる教訓と言えそうです。

From the Host

解説者ノート

個人的に一番うなったのは「作ったAI自身に操作の台本も提出させる」アイデアです。審査側が遊び方を探す手間とブレを一気に解消する、シンプルだが効く発想だと思いました。結果は「最高でも41%」と厳しいですが、それ以上に「仕組みは作れるが完成品にできない」という弱点を数字で切り分けた点が誠実で面白い。気になるのは2D・Godot限定で音声も評価しない点。「面白さそのもの」は測れない、と明言しているのも好感が持てます。今後3Dや他エンジンへ広がるかに注目したいです。

キーワード

コーディングエージェント

コードを書くだけでなく、ファイルを編集し・実行し・エラーを直す、という一連の作業を自分で進めるAI

ベンチマーク

AIの実力を公平に測るための共通の試験問題セットと採点基準

ゲームエンジン(Godot)

ゲームの絵・音・物理・操作などを動かす土台ソフト。Godotは無料で軽く、自動評価に向いている

操作記録(再生トレース)

「このタイミングでこのボタンを押す」という入力の台本。これを再生してプレイ映像を撮る

マルチモーダル審査

文章だけでなく画像や映像も理解できるAIに、プレイ映像を見せて採点させる仕組み

論文情報

2606 17861

トランスクリプト

かなで

かなで

はじまりました、放課後論文ラジオです。
ゆい

ゆい

ゆいです!
かなで

かなで

かなでです。
ゆい

ゆい

この番組は、むずかしいAI論文を2人でかみ砕いてお届けしてるよ!
かなで

かなで

今日もゆるくいきましょう。
ゆい

ゆい

ねえねえかなで先輩、わたしこの前ゲーム作ろうとしたんだよ。

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